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2005年11月27日、大阪・難波の「マーチャオγ」において、第3回関西インビテーションカップ決勝大会が開催された。
インビテーションカップとは、大阪・神戸・京都の3支部が合同となって開催する大会で、今回で3回目となる。
第1回は井出プロが、第2回は小林プロが優勝している。
さて、今回は誰が栄冠を手にするのだろうか?
準決勝までを戦い、36人の中で決勝に駒をすすめたのは以下の4人である。(敬称略、決勝戦の起家より順に記載)
小林 剛P 40.9
張 建民 46.1
吉田賞二T 114.0
桜井英男 101.3
上の数字を見ればおわかりのように、小林、張の優勝の条件はかなり厳しい。ほぼ、吉田と桜井の一騎打ちと言ってもよさそうだ。
桜井は、決勝戦で、吉田と2順位差をつければ文句なしの優勝。1順位差の場合は、4700点以上の差をつけなければならない。
それ以外は、吉田の優勝となる。多くのギャラリーが見守る中、決勝戦のサイコロは振られた。
東1局その1
吉田が6巡目に1300のチーテンをとる。これがすぐに桜井から出て、まずは吉田が先制。
小林30,000 張30,000 吉田31,300 桜井28,700
東2局その1
桜井がピンフをリーチするも、親の張が追いつき、リーチの現物待ちで小林から11600。
小林18,400 張42,600 吉田31,300 桜井27,700
東2局その2
吉田にとって最高の追い風が吹く。張が桜井から七対子・ドラ2の9600を直撃。この局の張の手順がおもしろい。
東家 張 5巡目 ドラ
            ツモ
から自分で第1打に切っている を残して打 。次巡にその を重ねて七対子イーシャンテンとなった。まるで を引き戻すのをわかっていたかのようだ。
そして、10巡目にドラの を重ねて、ノーミスで七対子をテンパイし、すぐに出アガリとなった。一方、放銃した桜井は、四暗刻のイーシャンテン。
ツモ切りでの放銃は仕方ない、と思ったかどうか。
小林18,400 張52,200 吉田31,300 桜井18,100
東2局その3
小林がピンフをリーチしてツモアガリ。
小林21,100 張50,900 吉田30,600 桜井17,400
東3局その1
東家 吉田 7巡目 ドラ
           
から3枚目の をチーして打 。小林が第1打に切っている
の後付けだが、これがあっさりアガれて5800の加点となった。
小林21,100 張45,100 吉田36,400 桜井17,400
東3局その2
さらに吉田の攻勢は続く。
             ドラ
の配牌をもらった吉田。難なく、10巡目に
           
のテンパイを果たす。実は、この時点ですでに、 はヤマに1枚しか残っていなかった。
だが、2巡後に張が、ヤマにいた吉田の最後のアガリ牌の をツモ切って5800を献上。これで吉田と桜井の差は24,800点。
吉田に限らず、誰もが吉田の優勝の予感していたはずだ。そう、この局が終わるまでは…。
小林21,100 張39,300 吉田42,200 桜井17,400
東3局その3
8巡目に吉田の切った
を桜井がポン。
           ドラ
このペン マチのテンパイから、すぐに出た小林の をポンして打 。2巡後、
をツモアガって2000・4000。ついに桜井が反撃ののろしを上げた。
桜井の捨て牌は
     
4巡目までが全て手出しで、それ以降はツモ切りである。吉田ほどの巧者でなくとも、桜井の捨て牌には何か違和感を覚えるはずだ。
さすがにマンズの一色手とまでは絞れないとしても、ドラの
をもツモ切っており、危険信号が発せられていなかったわけではない。
を鳴かせた吉田も役なしカンチャンのテンパイを入れてはいたが、吉田にしてみれば、これだけのリードなら、ノーテン親流れで十分だったはず。
ポンテンを入れさせてしまった
。なんとかならなかったか、と思うのは筆者だけだろうか。
小林19,100 張37,300 吉田38,200 桜井25,400
東4局その1
前局の勢いそのままに、桜井の大物手が炸裂する。吉田10巡目に両面を食って、ドラを切りとばして、まだイーシャンテン。
           (チー) ドラ
前局の桜井のアガリで焦ってしまったのだろうか?
筆者の持つ吉田の麻将のイメージからすると、考えにくいような軽い仕掛けである。この仕掛けで親の桜井にテンパイが入る。
マチはカン
だが、ドラを2枚持っており、迷わずリーチ。最終ツモで力強くアガり牌を引き寄せ、3900オール。ついに桜井が吉田の持ち点を上回った。
このアガりを見て、吉田はどう思ったか。牌譜を追えば、吉田がメンゼンで手をすすめた場合、桜井はテンパイすら入っていなかった。これは結果論だが。
小林15,200 張33,400 吉田34,300 桜井37,100
東4局その2
張が、小林からタンヤオ・ドラ1の2600をアガる。これにより、張が吉田を捲ったので、桜井、張、吉田、小林の並びになり、トータルトップがついに桜井に。
小林12600 張36,000 吉田34,300 桜井37,100
南1局その1
この局のテンパイ一番乗りは桜井。吉田が、 をポンして、 の後付けでテンパイ追いつくも、すぐに六をつかんで桜井に放銃。
吉田は自身の焦った仕掛けで、傷をさらに広げてしまったのではないだろうか。
小林12,600 張36,000 吉田31,700 桜井39,700
南2局その1
吉田と桜井の殴り合いは続く。6巡目から果敢に仕掛ける桜井、それに対し押し返す吉田。桜井、2つ目を仕掛けてイーシャンテンではさすがに吉田の勝ち。
吉田が桜井から七対子の1600を直撃した。
小林12,600 張36,000 吉田33,300 桜井38,100
南3局その1
またしても吉田に追い風が吹く。桜井の13巡目のテンパイ打牌の
に対して、張の「ロン」の声。開かれた手はタンヤオ・ピンフの2000点。
小林12,600 張38,000 吉田33,300 桜井36,100
南4局その1
長かった決勝もついにオーラスを迎えた。吉田は、張からの2000以外は何をアガっても優勝である。一方の桜井は、親なので連荘が条件である。小林・張は役満でも優勝に届かない。
東家 桜井 配牌 ドラ東
            
配牌でイーシャンテンをもらった桜井。マンズの一気通貫、ホンイツ、チャンタもみえる。リャンシャンテンとなるが、チャンタも見据えての
切りもおもしろい。
桜井の選んだ第1打は 。次巡、ツモ で一気通貫を見切る 切り。3巡目にはツモ で を切り、4巡目に を引いたところで
を切って、それを横に曲げた。
手役もドラもないペン 。普通ならなかなかリーチはしにくいが、桜井はこの状況で、他家がそう簡単に親のリーチに向かっていけないのを知っていた。
結果は、ドラの が他家に分散して入るという展開も味方して、全員の足止めに成功した。そして桜井の1人テンパイで流局となった。
決死の覚悟で放たれたリーチ棒は、見事にその役目を果たしたのだった。
小林11,600 張37,000 吉田32,300 桜井38,100
南4局その2
前局の桜井の1人テンパイにより、吉田の優勝条件は、ツモなら800・1600以上、桜井からなら1300以上、張からなら2000以上、小林からなら3900以上が必要となる。
桜井は、張と1100点差なので、流局時にノーテンだと2着に落ちる可能性がある。よってこの局も前にいかなくてはならない。そんな中、事件は起こった。
吉田VS桜井。先にテンパイしたのは桜井だった。8巡目にピンフをテンパイ。9巡目にリーチと出た。
このリーチ棒が出たことにより、吉田の優勝条件は、ツモと桜井からの直撃はなんでも可、張からなら1600以上、小林からなら3200以上に変わった。
リーチ棒が1本出ただけで、条件はこんなにも目まぐるしく変化する。とはいえ吉田ほどの選手なら全て完璧に計算されているだろう。そう皆が思っていた。だが……。
桜井のリーチに対して、吉田は無筋の 、 、 と切りとばし、真っ向勝負の構え。そして14巡目、張が桜井の現物の を切ると吉田の「ロン」の声。
倒された吉田の手牌を見て、対局者全員が固まった。なんと開かれた手牌は白のみの1300点。100点差で張を捲れず、桜井の優勝となった。
北家 吉田 14巡目 ドラ南
            ロン
小林11,600 張35,700 吉田35,600 桜井37,100
最終結果 優勝 桜井英男 120.4
2位 吉田賞二T 115.6
3位 張 建民 55.8
4位 小林 剛P 10.5
しかし、優勝を目の前にした、決勝のプレッシャーというのは、これほど大きなものなのか。
アマチュアがついうっかり、ということならともかく、今年の春に王貞治杯ビッグワンカップで優勝したベテランの吉田が、であるから驚きだ。
たしかにリーチ棒が出てからの優勝条件は、観戦していてもなかなか難しい。
ましてや、麻将を打っている対局者からすれば、局の途中での計算となり、なおさら大変なことだろう。しかし、我々は麻将の専門家である。
麻将連合の選手である限りは、ギャラリーが痺れるような戦いをしなければならないと思っている。とはいえ、筆者だって吉田と同じ勘違いをする可能性はある。
今後は、選手が皆トレーニングを重ね、このようなことがないように、と願うばかりだ。
人間誰しも間違うことはある。まさに魔が差したのだろう。関西に住む魔物が、地元の桜井に味方したのかどうかは知らないが、とにかく優勝は優勝である。
決勝の猛者達を相手にした、桜井の堂々とした戦いっぷりは見事であった。スピーチで自ら、癌の手術歴を語った桜井。
今大会を見る限り、元気一杯、まだまだ長生きしそうだ。
(文中敬称略)
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