in大阪準決勝戦観戦記
内田 慶
■ システム
認定プロをはじめとするシード選手と予選を勝ち上がった選手、合計32名で争われる。
ポイント持ち越しの半荘6回戦。4回戦進出16名、準決勝5回戦進出8名、決勝6回戦進出4名。


マージャン打ちはそのアイデンティティーを示すために、そのマージャンを見てもらわなければならない。そのためにどうするか……。

準決勝開始時のポイントは、起家から、牧武さん(32.2)、戸坂光浩さん(44.1)、高見沢治幸プロ(63.0)、明村諭ツアー(35.8)
決勝までの戦いと見ると全員のテーマは、卓の中で2着以上をとりあえず目指そうといったところか。(以下、敬称略)

開局の西家高見沢、この配牌とツモで、この最終形になる選手がどれぐらいいるだろうか。

  ドラ

ツモ  
捨て  
最終形  

全体牌譜がないので伝えづらいのであるが、4巡目に上家の東のツモ切りに声がかかってないことや、合わせ打ちがなされていないことから、東がこの状況で狙い目であったことは、間違いない。

が、親が、手出し、ツモ切り、手出し、ツモ切り、といった5巡目までの「マンズ以外のホンイツ気配」という『開局の親』にしては異常な捨て牌を考慮するとツモ切りもあるように思う。

いや、順調にいかなかったときに、終盤で切りづらくなるぐらいなら、切りがマジョリティーか。せっかくのジュンチャンも見えているのだから。

雀頭がない形でを引っ張り、を引いて聴牌した9巡目。(ここは、さすがにマチだろう…が2枚、が3枚、おまけに親はほぼマンズは使っていないし・・・)と思ったら、待ちにするんですかい!

これがピタリとはまる。

南家のタンヤオっぽい二フーロを受けた親が、「4巡目には山にいた」をトイツ落しして高見沢に8000。

後日高見沢に聞いてみたところ、
「4回戦までは調子が良かったから、この局も、ごく自然な手牌進行で行こうと思っていたよ」との返事。
はぁ、自然な手牌進行ですか……(苦笑)

次局は丁寧に打った一局。
東2局、南家高見沢6巡目、

  ドラ

ここから切り。リーチ派は、を切るだろうが、トータルトップということや、点棒状況を考えて、役ありを目指した手筋。勉強になります。

  ロン

同時にこの局は、明村の丁寧さも際立つ。
明村、をポンしてテンパイしたのは11巡目。

    ドラ

ここからを切り出す。理由は、4巡目にをポンした親のトイトイをケアして場に1枚切れのを切ったとのこと。手拍子で、に手をかけない。さすがです。
詳しくは触れていないが、この準決勝も高見沢に追いすがる3900オールをアガるなど存在感を示しており、次戦が楽しみな選手の一人であるといえる。

しかし、かたや優勝、かたや決勝の扉を開けることが出来なかったわけだが、この違いはどこにあるのだろう。選手は、結果を伴ってプロと呼ばれ、プロは結果に課程を伴わせる。

次局は高見沢の自然な500オール。

その次が、この半荘最大のビッグバンとなる。
東三局その2、東家高見沢4巡目、

  ドラ

345と456が見えて、何を切るか悩ましい牌姿。かとおもっていたら、ここでなんと切りを選択。
以下、ツモ、打でイーシャンテン。安全パイを残してを切る。同巡ラス目から情報の少ない河でリーチが入る。をツモってテンパイ。高見沢無筋をガリガリ押して、をツモる。さすがにと、を切る。またガリガリ押して、ツモで2000オール。

  ツモ

元来、高見沢は、手順に正確ではない(様に見せている?)タイプの打ち手だが、押し引き感覚に関しては、ミューでも随一である。その経験則がこういった手順を生み出したのだろう。その後は、明村が追いすがるも、すきを見せないゲーム回しによって高見沢の大トップという結果となった。

「トータル1位のトップ目からラス目のリーチに対してこんなに押して、怖くなかったのですか」と質問したら、どう答えるだろうか。
はにかんだ顔をして「そうだねぇ……」とうつむいて反芻する高見沢がそこにいるだろうか。いや、「だってね、ね、ねぇ〜、つかむわけないじゃ〜ん」と陽気にかたる高見沢がそこにいる気がする。(主に酒場で)

ドラのを切るような丁寧なときもあれば、タンキに受ける、豪胆さと感性に殉ずる覚悟を併せ持つ認定プロ。
ドキドキをギャラリーに感じさせるのがプロだといっているかのような、プロセスで他との差を見せる「宇宙流麻将」の真骨頂を見たような気がする準決勝であった。