in日本橋決勝戦観戦記
内田 慶
準決勝までのポイントは、起家から須藤浩プロ+56.8木村和幸プロ+57.3、藤屋三郎(一般)+68.2、薗辺達哉(一般)+76.0。
■ システム
認定プロをはじめとするシード選手と予選を勝ち上がった選手、合計32名で争われる。
ポイント持ち越しの半荘6回戦。4回戦進出16名、準決勝5回戦進出8名、決勝6回戦進出4名。

私がべーちゃんと出会ったのはいつだっただろう。何かの飲み会で、木村プロを通じて「あっ、君たち友達になるといいよ。」と酔っ払って紹介された記憶がある。そこから私たちは友達である。彼は違うというかもしれないけど、木村さんが決めたんだからしょうがない(笑)

私もべーちゃんも麻雀への取っ掛かりは、当時木村プロが責任者をしていた麻雀店のお客さん同士であった。忍田プロがゲストをしていた当時のその麻雀店は、いつも若い熱気にあふれていた。麻将連合とも関りが深く、スタッフに麻将連合や101の選手も何人か働いていた。そんな環境で打っていたら、熱病に冒されるのもあっという間である。

同病相哀れむ。そんなわけで、3回戦で負けてしまった私は、薗辺の記録係を引き受けた。木村さんや須藤さんには悪いが、ここは一つ男にしてやろうじゃないか。……とはいっても、私にできることは、『ツモれオーラ』を記録しながら出すことだけなのだが…。
(以下敬称略)

須藤、木村は薗辺と1順位差なら素点で約12ポイント広げないといけないが、まあ、トップを取ったものが優勝だろうなといった点差。ラス親ということや、もともとのポイントからも、薗辺がほんの少し有利かといった印象。

東1局、薗辺は藤屋が投げたリーチ棒つきでチーテンのツモアガり。まったく緊張していない。大舞台で緊張して普段と違う着手になってしまう打ち手はゴマンといる。(実際自分がそうだった。涙)言うは安く、行なうは難し。東2局はお化けツモがやってきた。

 ドラ

ここにツモで王様気分のイーシャンテン。とツモり4万点オーバー。勝ちきるときってこんなんなのかなぁ…と思わせるような力強いアガリ。
と思ったのもつかの間、次局で藤屋の親で食いチンイツをツモアガリ4000オール。木村も負けじと2000・3900ツモアガリ。殴り合いの展開になってきた。

次局がこの半荘の最大のアヤとなる。持ち点は次のとおり。
須藤△8.5 木村△0.4 藤屋+4.8 薗辺+4.1

薗辺3巡目、

 ドラ

ここから打
普通はだろうが、イッツーを重視した独特の手筋。打ち手としての個性。その後とツモり、と並べて切り出す。
藤屋5巡目、



から打
6巡目ツモ切り。三色よりもテンパイチャンス。こういう着手もありか。これは好みの問題。
7巡目にチーテン。薗辺が3,4巡目にを並べたことによってが7枚見えたので。焦り気味にもみえるが、自身の安全牌が豊富で、いつでもオリることができ、さらに他家からドラが固まっていての仕掛けに見えなくもないので、受けに定評のある木村、須藤に効果はあるかも。戦略的にはありかもしれない。
その瞬間局面がバタバタっと動き出す。藤屋のチーでと引き入れた木村がリーチ。
木村9巡目、



薗辺も危険牌を飛ばして追っかけリーチ
薗辺11巡目、



4枚と5枚のめくりあい。どんな気持ちだったのだろう。不思議なほど、薗辺を応援していた気がする。木村のことが大好きな薗辺。その木村に対して優勝を左右する勝負どころでの追っかけリーチ。この局面での薗辺の気持ちを文章にするには、もどかしく、また、不潔な気がする。思いはとなって木村の河に落ちた。

結果と思いは関係ないかもしれないが、薗辺の思いが数学という物理空間を捻じ曲げたと信じたい。

3人テンパイの後、藤屋の700・1300、1000という小さいアガリで局が進み、麻将の女神はまた薗辺に見せ場を与える。
南2局、ドラ、薗辺4巡目、



ここからドラを切り飛ばす。6巡目にツモで序盤の他家の切り出しから山に残っているはずと決断のホンイツ移行。順調にテンパイし、



となって、どうしても連荘が必要な木村からで8000。このゲームの決定打。
最終局で藤屋から逆転のリーチが入るも落ち着いた打ち回しで見事薗辺の初優勝となった。

優勝スピーチで、こう言っていた。「僕は麻将が大好きです。今日は沢山打ててとても幸せでした。また、次回参加するときにもたくさん打てるようにがんばります」

朴訥だが、力強く、頼もしい。麻将が大好きなこの男らしいスピーチである。おめでとう、べーちゃん。次は俺も負けないようにがんばるよ。