ミューカップイン長崎観戦記    担当 明村 諭

■予選・12月10日、本戦・12月11日、会場・長崎「いでがみ」http://www.mu-mahjong.jp/topics_mucupinnagasaki2005.htm

協賛:長崎「マージャンハウスいでがみ」代表者・井手上喜代子(いでがみ きよこ)

〒852-8134 長崎市大橋町16−6 TEL:095-846-9407
 麻将連合長崎支部。健康麻将開催店。教室開講。ミューカップ開催は2001年を皮切りに今回が5回目。

特別協力:熊本「六本木あたり」代表者・先崎礼子(まつざき れいこ)
〒860-0924 熊本市帯山4−55−19 第2保陽ビル203 TEL:096-385-3895 http://www.mu-mahjong.jp/roppongi/mu_r_roppongi.htm
 麻将連合熊本支部。MU−R戦開催。代表者の先崎さんは熊本、八代、長崎などで教室を開講。
  麻将連合草創期の1998年〜2000年に3回、ミューカップイン熊本を開催。    

■全成績 http://www.mu-mahjong.jp/mucupranking_10.htm 
参加者数 1次予選 56名(長崎12名、福岡11名、熊本14名)
       2次予選 44名
       本戦   32名(長崎3名、熊本1名、福岡1名)

■ルール
リーチに対する一発・裏ドラなし
順位点はトップから順に+12・+4・▲4・▲12

■システム
認定プロをはじめとするシード選手と予選を勝ち上がった選手、合計36名で争われる。
ポイント持ち越しの半荘6回戦。4回戦進出16名、準決勝5回戦進出8名、決勝6回戦進出4名。
(文中敬称略)
※ 文中において(P)は認定プロ、(T)はツアー選手、(LT)は女流ツアー選手、(般)は一般、を表す。

○準決勝 ポイント(p)は4回戦までのもの

A卓、松尾政人(T)111.8p 黒澤耕一郎(T)66.6p
   高橋裕亮(T)36.9p 小野寺克之(般)29.8p

ここまで4連勝で駒を進めてきた松尾、ここまでトータルトップ。ポイントも大きくリードしていてもはや決勝進出は確実か。黒澤は優勝の為にはここでなんとかして松尾のポイントを少しでも削っておきたいところ。高橋、小野寺はまずトップを取り、黒澤に最低でも2順位差をつけて卓内2位で決勝へ進むことが現実的な考え方か。

局面は、黒澤がドラ暗刻のツモり四暗刻をテンパイするもアガりには結び付かず、などと小場な展開で進む。松尾にとっては悪くない展開と言えよう。
最終局を迎えトップは黒澤。松尾は3着目。高橋、小野寺はポイント的に苦しい。このまま終われば黒澤は目標達成で決勝へといったところだが、マンツモ2着の松尾からリーチが入る。

 ドラ

なんとも苦しい形だが、松尾としては、決勝勝ち上がり条件の厳しい高橋、小野寺はほぼアガらないものという思惑があるのだろう。

黒澤にとっては、ラス目の高橋と松尾が微差なので、松尾をラスに落とすチャンス。しかし、黒澤自身も2着目の小野寺と微差なので松尾に放銃すると、ほぼトップから陥落してしまう。よほど形が良くない限りは突っ込みにくいか。松尾の愚形リーチは当然こういった点差まで考えてのことなのだ。結果は松尾が力強くツモって2着で黒澤と共に決勝へ。

B卓、馬場慎吾(般)74.5p 原浩明(P)64.1p
   石原真人(T)34.5p 武則輝海(T)33.9p

こちらは馬場、原は2着なら決勝へほぼ進める。どちらかがトップなら3着でも可といったところか。石原、武則は上の2人に最低2順位差を付けてのトップ狙いが決勝への条件となる。

東1局は親の馬場が先制。

 ロン ドラ 

 馬場はこれで多少余裕ができたか。放銃したのは1000点の仕掛けを入れた原。その心情は如何に?と思ったら次局であっさり武則から5200。このままでは後のない武則、親番は流されてしまうが原の親番で2000・4000をツモって原をラス目に落とす。トップラスならほぼ原を追い越せるだけにこれは大きい……と思ったらまた原が高目タンヤオのリーチ「」待ちの「」ツモって1000・2000ですぐラス抜け。しぶとい。

石原も反撃しようと2局連続でリーチをかけるが空振り。その2本のリーチ棒は馬場、原にそれぞれ回収されて石原にとっては最悪の結果。オーラスは石原が連荘し武則も条件を満たすテンパイを入れたが、最後は原がきっちりアガって馬場、原が決勝へ。

○決勝戦
松尾(T)119.3p 馬場(般)91.2p
黒澤(T)82.6p  原(P)69.9p

松尾は初めての決勝。ランキング戦では先輩勢をゴボウ抜きしてミューリーグ出場の権利まで獲得するなどその活躍ぶりには目を見張るものがある。私と同期なのに……もっと精進しないと。

原、黒澤は昨年に続いてのイン長崎決勝進出。特に黒澤は昨年、原に負けているので心中穏やかではないはず。原は、ポイント差は大分あるが、こういうシチュエーションはたくさん経験してきているので絶望的とは思っていないだろう。
馬場は松尾の次に優勝が近い。自分がトップを取って松尾と2順位差ならまず優勝だ。それに地元、長崎での大舞台、後ろで見守っている友人や地元の方達の眼差しも熱い。

東1局 ドラ
親の黒澤7巡目のイーシャンテンがこんな形、

先に「」が入ればリーチもあるか? ピンズでおいしいのは「」か「」だけだし。などと思ったら14巡目にはこんなテンパイになった。


次巡に「」と「」が入れ替わって11600のテンパイに。対する南家の松尾、イーシャンテンは早かったが15巡目でドラの「」を切ってピンフのみでようやくテンパイ。
トータルトップ目が親に対してション牌のドラなど切るものか、と考える方も少なくないと私は思う(実際、私なら切れないかも)。が、松尾はこの日の自分の好調ぶりを認識していたし何よりも優勝したい!という気持ちが採譜をしている私にも充分に伝わってきた。そんな松尾のドラ切りはノータイムで全く迷いがなかった。
結果は流局だったが松尾の気迫が対局者に充分に伝わった一局だった。

そして黒澤の親を1000点で流した松尾、東2局親で6巡目リーチ。


 ドラ
 この手牌、ダマテンを選択する選手も多いだろうが松尾はリーチを選択。手替わりする牌よりアガリ牌の方が多いからといった理由ではないだろう。2600オールをツモれば大きいというのもあるが、個人のスタイルの問題という気もしないでもない。
すぐ「」をツモっていたものの(これは結果論だろう)思惑通りの「」ツモで2600オール。

そして東2局その2、馬場が松尾に負けてたまるかといった感じでリーチ。2000・3900のツモアガリ。

 ツモ ドラ

 この局、実は原が非常に悔やんでいた。7巡目、

 ドラ

 原は西家でまず三色を見切って打「」。原は、場況で比較的に安く、ヤマ残りを期待できるマンズを厚く持つ考えだった。ところが9巡目に一応の安全牌代わりで持っていた「」がトイツになる。自風だが「」は1枚切れ。「」も1枚切れ。ここで原は打「」。そして次のツモが「」! ここで馬場からリーチが入り、そしてさらに2巡後「」ツモ。もし、自分の読みを信じて「」もしくは「」を選択していれば、



このどちらかでテンパイ。「」、「」ともに馬場のリーチの現物である。前者だったら松尾から、後者だったら黒澤から出アガリできた可能性が高い。
結局、原は黒澤から出た「」をポンしてとりあえず追いついた。

 

」が馬場の現物だが、リーチ後に仕掛けを入れたうえに、最終手出しが「」では黒澤、松尾からこぼれることはないだろう。このことを考えてか、それとも先ほどの手順ミスが頭によぎったか、原は無スジの「」をツモってきて、テンパイを崩す。そして「」を馬場からチーして再びテンパイを組み直すが、次のツモがさきほど「」を押していれば!の「」!
馬場のツモアガリはその直後のことだった。原は実質2回アガリ逃しをしてしまい痛恨のミスとなったわけである。

ギャラリーとしては松尾の独走では面白くもないので、追撃一番手の馬場のツモアガリは歓迎すべきことだ。しかし、松尾は東3局に原からタンヤオ三色の5200点、南2局の親でも役牌2つの4800点とまたまた引き離す。さすがに決まったかと多くの人が思ったに違いない。

黒澤の1人テンパイを挟んだ南3局、トータル2位で親の馬場が5巡目リーチ。

 ドラ

この4メン待ち、リーチをかけた時点ではヤマに8枚生きていたのだが、なかなかツモれない。普段なら、「マージャンこんなこともあるよ」軽く笑い飛ばせる馬場も、今この瞬間だけは、「アガらせてくれよ!」と思ったに違いない。2600オールならとりあえず半荘のトップ目には立て、優勝もかなりはっきりと見えてくるのだから。
馬場ツモれぬままの12巡目、黒澤がツモり三暗刻のシャンポン待ちで追いついてリーチ。2枚しかヤマにいない待ちを即ツモアガって2000・4000。
松尾にとっては下位者の黒澤のツモアガリなら悪くない結果だろう。鉄板と思われたリーチを蹴られた馬場は相当苦しくなってしまった。

そして迎えたオーラス。それぞれの優勝条件は、松尾はアガれば優勝、馬場は松尾からハネ満直撃か役満ツモ、黒澤は松尾から倍満直撃か役満ツモ、原は親なのでひたすら連荘ということになる。

オーラスその1は原が馬場から1500点。この時、惜しかったのが馬場。12巡目、

 ドラ

 ここで出た2枚目の「」をスルー。松尾の動向に左右されるが、叩けば一手で条件を満たすことができる。事実、叩いていれば「」が入っていてテンパイが入っていた。やはり決勝のオーラスという舞台、私は未だに上がったことはないが、相当な精神力を要するに違いない。しかし、一般参加ながらも1次予選から決勝まで上がってきた力量だけでも賞賛に値することなのだ。

オーラスその2は松尾に役ありペン「」待ちでのテンパイが入る。しかし、親の原がリーチ。松尾はそれに対して3枚無スジを飛ばす。ここが勝負どころか? だが松尾はその後、原のロン牌でドラまたぎの「」をしっかり止めてテンパイを崩す。引き際がちゃんとわかっていて冷静だ。流局。
オーラスその3は原がツモっちゃったといった感じで手を開ける。

 ツモ ドラ

 実はこの「」は仕掛けている松尾のロン牌でもあったので、結果としては良かったのかもしれない。その後、原は3局連続リーチを敢行するも、すべて流局。
オーラスその7に松尾から直撃を狙えるチャンス手が入る。

 ドラ

 テンパイが入ったのは9巡目でツモってきたのは安目の「」、手替わり待ちかと思ったら次巡に即ツモアガリの2000オール。
」切りのフリテンリーチの選択もあるかもしれないが、所詮、原トップ、松尾2着では役満でもアガらない限り(それくらいの差をつけないと)優勝の望みは薄い。したがって直撃の取れないフリテンはあまり意味がないのだ。
原はその8でも500オールをツモったが、残念ながら反撃もそこまで。その9は松尾がしっかりとツモって、念願の初優勝となった。

 ツモ ドラ

松尾はその後、12月24日に行われた第30期王座戦の最優秀新人賞決定戦でも優勝し見事2冠となった。これからが非常に楽しみである。
こんなことを書いてしまっては生意気かもしれないが、同期の私も負けてはいられない。もっと頑張らないと。
松尾さん、おめでとうございました!