2006年度ツアー第5戦・μカップイン長崎観戦記
麻将連合ツアー選手 下出和洋
決勝(ポイントは準決勝までのトータル。以下敬称略)
起家から、
藤原健(ツアー選手・71.6)
鶴祐輔(一般・80.6)
服部学(一般・93.4)
三上龍玲(ツアー選手・97.6)

東1局、いきなり鶴が三上から直撃(牌譜1※)。

 ロン ドラ

中盤以降に若干脂っこいところを切っているとはいえ、ジュンチャンにはとても見えない。鶴よりも7巡も前にテンパイしていた三上にとっては不運な8000支出となった。

 ツモ ツモ切りで放銃

東2局には、三上にをアンカンされたにもかかわらず、力強く高目のをツモあがる。

 ツモ ドラ

この4000オールで相当優位に立った。後は局を早く進めるだけだ。

一方、開始時のトータルトップだった三上は、東4局に藤原の8000につかまる。

 ロン ドラ

ラス目の三上にとっては貴重な親番なのはわかるが、すでに17巡目にもかかわらず、まだノーテン。前巡の藤原の打に合わせる手はなかったか。

 ポン

さらに南1局、今度は服部にも6400を食らう(牌譜2※)。

 ロン ドラ

ちなみには、藤原のリーチ後の現物。鶴も同巡に合わせ打ちしている。三上もその時点で(10巡目)すでに持っている。

 ツモ

あわよくばのチートイツ・ドラ2を見て、を引っ張った。そして2巡後、無スジが溢れかえったところで離して、服部の今テンに捕まったわけだ。


その後、鶴はラス前まで淡々と進める理想的な試合運び。あとは三上の親を流すだけとなった。
あまりの進行の早さに、「開会式の選手紹介とかちゃんとやっておけばよかったかな(※注)」と、当日運営も担当していた私は、冷や汗をかきながら少し後悔していたものだ(笑)。

南4局その1は、三上が3巡目リーチ。誰も追いつく間もなく、2600オールのツモアガり。

南4局その2(牌譜3※)、三上が残りツモ3回でようやくテンパイ、そしてリーチ。

 ドラ

同巡、服部もリーチ。



服部の優勝条件は、鶴から7700、ハネ満ツモ。手なりでは決してこうならない手牌進行で、見事に条件通りの手作りを果たした。
そのまま流局かと思われたが、服部がをつかみ、三上のアガリ。この11600でこの半荘の2着にもなった三上は、トータルでも13.8差となり、再び現実味のある点差となった。
一方の服部は、鶴から倍満、ツモは3倍満が必要となり、優勝争いからは事実上脱落。

南4局その3、鶴が11巡目にテンパイを果たす。



しかし、すでに山には1枚しか残っておらず、最後の1枚も藤原のところへ。その藤原、自分の条件を満たせないとみるや、三上のテンパイをアシストする「延命作戦」。
もちろん、自分の優勝の望みをつなぐためのものだ。これは見事。そして、三上の1人テンパイ(鶴は最終ツモでオリた)で、あと9.8差。
その4は三上と鶴の2人テンパイで、点差はそのまま。

南4局その5、10巡目、三上がツモれば逆転のリーチ。

 ドラ
13巡目、優勝の可能性がほぼない服部が、ドラ切りリーチ。



現状トータル3位の服部、ツモれば三上をかわして2位になるのだ。
結局そのまま2人テンパイで流局。
その6は三上が4巡目にあっさり700オールとリーチ棒2本の回収。これで3.0差まで迫った。

南4局その7(牌譜4※)、三上がいつもより大きなモーションで9巡目にリーチ。

 ドラ

続いて服部が12巡目にリーチ。



アガればトータル3位入賞。優勝するには3倍満ツモ、出アガリに至っては役満が必要なのだ。「優勝条件を満たさない限り、何もしない」という選択をする人もいるだろうが、価値観は人それぞれ。
対称的に、「自分に優勝条件が残っている限りは、可能な限りの手を尽くす」のが藤原。藤原の優勝条件は、ロン・ツモ共に役満が必要。三上が連荘すれば、次の局に役満が入るかもしれない。しかし、服部にアガられるとゲームセット。
ならばと、服部の現物なおかつ三上がアガリ易い牌を切り出した。見事一発目に的中。
藤原がとった戦略にも賛否両論はあるだろうが、先程の服部と同様、正しいとか間違いとかで括れるものではないと思う。

何はともあれ、ついに逆転を果たした三上。更なる追加点で、鶴を引き離したいところ。
南4局その8、今度は1.9差を追う立場となった鶴が、2巡目に早々と仕掛ける。

 ポン ドラ

そして11巡目、ついにテンパイ。

 ポン

12巡目にツモで、待ちに変える。2時間近くの熱戦もこれで終止符となるのか?
一方、三上も一足先にテンパイしていた。

 アンカン

14巡目、三上に訪れたのは、鶴のロン牌でもある
鶴の現物でもあるをつまんだ。うん、冷静だ。
と思いきや、「リーチ!」と、気合いの入った声を発しながら、横向きに置いたのだ。
まさに「冷静と情熱のあいだ」(かなり古いね)だ!
その時、鶴は三上が切ったをどういう気持ちで見ていたのだろうか。「アガリ逃した!」と思ったか、それとも「100回中100回そうするから仕方ない」と思ったか。
もっとも、鶴がを切っていなければ、三上も待ち変えしなかった可能性もあるので、一概にアガリ逃しとは言えないが。
そして流局。決着は最終局へと持ち越された(今回は110分+1局の制限時間あり)。

使い古された表現だが、「泣いても笑っても」南4局その9が最後の1局(牌譜5※)。
三上と鶴の点差は1.9のままだが、前局に三上が残したリーチ棒がある。つまり、三上と鶴はアガった方が優勝なのだ。
鶴が1巡目に、貴重な1翻の素でもあるを重ねた。

 ドラ

そして10巡目、鶴が先にテンパイを果たす。

 ツモ 打

そのを三上がポン。三上もテンパイだ。

 ポン

が1枚残っているのに対して、は鶴と藤原が2枚ずつ持っている。鶴が有利にも見えるが、そうではない。もし鶴がを引くと、捲り合いにするべく、打リーチとする可能性が高い。
つまり、決着方法は、二人のどちらかがを引くか、鶴がを引くか、とも言える。

そして、14巡目。
鶴はこのヌルリとした感触を一生忘れないだろう。「産みの苦しみ」とともに。
そして、地元の麻将仲間の祝福、会場内にいた多くの観戦者からの大きな拍手も。

 ツモ

以前、当団体の会報誌「新世紀」でも、あるツアー選手のリポートで「地元の若き強豪の一人」と紹介された事がある。
あれから3年、「優勝」という結果でそれを証明した。

鶴祐輔さん、おめでとうございます。


左から麻将連合代表・井出洋介、優勝者の鶴祐輔さん、主催者の井手上喜代子さん

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