2005年度ツアー第2戦・μカップin日本橋観戦記
■ルール
リーチに対する一発・裏ドラなし
順位点はトップから順に+12・+4・▲4・▲12
出席者
司会、企画、構成 内田慶
A 競技生活20年の認定プロ。かなりの理論派。
B Aリーグの経験もあり、実績十分の選手。
C 選手歴3年目の若手。
内田  「今日は皆さんと、お酒を飲みながら、イン日本橋の検討をしようということで、遠慮なくご意見を聞かせていただければと思いまして…。」
A、B 「よろしくお願いします。」
内田  「こちらこそ、よろしくお願いします。」


C   「最初は、東1局?」
内田  「っと、その前に、観戦メモの報告を。決勝メンツは、ポイント順に、黒澤耕一郎ツアー(148.9)。準決勝で、九連宝燈をアガっての決勝進出です。」
A   「『ロン48,000』って声が聞こえたんだけど、まさか九連とはね〜。」
内田  「続いて、神の鳴きでもおなじみM1カップ覇者の井上忠重ツアー(121.2)。昨年に続いての決勝進出。」
B   「なんなの、2回戦の8万点トップって(笑)」
内田  「同卓した選手が、今日は(井上は)デキが違う。って言っていました。」
C   「黒澤ツアーに苦手意識を持っているみたいだけど…。そのへんどうなんだろう。」
内田  「彼は、意外と打牌はデジタル系だと思うんですが。」
A   「ライバルは小林プロだし(笑)」
内田  「ポイント差から言っても、この二人の勝負になると思っていました。正直。あとの2人は厳しいだろうな〜って。そして、久々の決勝の柏原純プロ(92.0)。準決勝で大トップを取っての3位です。」
C   「確かに、柏原さんはアガりだすと止まらないところがありますからね。」
内田  「そして、忍田幸夫プロ(77.0)。毎回のように決勝にいますよね。本当に強いですね。」
C   「本当だね。見習わなくては。」


内田  「まず、このポイント差だと、忍田さんが打点重視になり、手数が少なくなるので、間に挟みたい柏原さんともども苦しいのでは…というのが、戦前予想だったのですが。」
A   「このポイント差でも忍田さんが最初に考えることは、トップを取ることだと思うよ。他の人の並びは後から考えようって感じかな。確かに、黒澤さんを4着、かつ井上さんを3着にしないとほとんど無理。だけど、優先順位としては、自分が1位になる事だよね。それができないのに、並びを作ろうなんて無茶だと思うよ。一石二鳥をやろうとしたら、たいてい失敗するからね。」
内田  「たとえば、東1局から7700,8000、12000クラスの手が入ってて柏原さんから出たとしても…」
A  「うん、アガると思うよ。メチャメチャ早い巡目なら、相手の手の進み次第でわからないけど、東1局ならたいていアガるんじゃないかな。」
(以下、認定プロにはP、ツアー選手にはTで統一。)


内田  「東1局、忍田P、中のみポンテンの後、黒澤さんが2フーロのチンイツ聴牌。二人聴牌に親の井上さんがツモ切りリーチ。黒澤Tの忍田Pへの1000点振込み。このリーチに関しては?」
A   「なんでツモ切りリーチなんだろう。リーチなら手出しの方が強いよね。」
井上   ツモ ツモ切りリーチ
内田  「あっ、それ僕も思いました。」
A  「ツモ切りリーチって、普通は愚形による押さえつけか、十分形につきオリる気無しのどっちかなんだよね。」
B   「イヤーこれは、『メンゼン神の鳴き』だよ。」
内田  「なんですか、それ(笑)」
B   「切ったほうが、他から鳴きが入って、ツモがずれてリーチが勝てるとか(笑)」
C   「気持ちでかけたリーチだから、ここで是非を話してもしょうがない気がするんですけど。どうでしょうか。」
A   「まあ、そうだね。」
内田  「もう1つ、黒澤Tの2フーロ目なんですけど。をリャンメンで鳴くと、チンイツがぼやけるんじゃないですか?」
  黒澤  チー  出る
A   「うん? いや〜、逆じゃない?」
内田  「そのこころは?」
A   「ペンで鳴いたほうが、イッツー出来合いの、他の色のマチも警戒するっていうこと。しかも、後の変化の多さが全然違うし。」
B   「多分、忍田Pも、イッツー警戒だったんだと思うよ。(1フーロ後の)上家での対応がそういう対応だもん。」
内田  「へ? どういうことですか?」
忍田  打
B   「ポイントはの切り順だよ。他の部分の形にもよるけど、からのチーってなかなかできないんじゃない? からの方が鳴きやすいでしょ。」
内田  「う〜ん、確かに。」
A   「だから、下家のカンチーの仕掛けに対して、鳴かれづらいであろうから切ったんだよ。形ではの方が必要だけどね。」
内田  「なるほど。そこまで考えているんですね。」
A   「フツーは考えるよ(笑)。一色手の可能性が高いけど、イッツーもあるなって。をサバかれた後の対応の部分としてね。」
B   「まあ、リーチをかけただけで、王様気分になったら駄目って言うことだね。」


内田  「東二局、柏原Pの親。3巡目に黒澤Tに忍田Pから1000点。東三局、親の忍田Pがドラ入りチートイツを井上Tから出アガり。井上T相当苦しくなっちゃいましたね。」
   ロン  ドラ
B   「これリーチすると、黒澤T出ちゃうんじゃないの?」
黒澤最終形    
A   「捨て牌が気持ち悪いから出ないでしょ。」
B   「そっかー、出ないか。」
C   「多分リーチされたら、あらためて捨て牌をみるから、出ないでしょうね。」
内田  「井上Tは……しょうがないか。」
C   「切るっしょ。」
内田  「しゃーないなぁ。って(笑)」
一同  「……」


内田  「東3局その2、井上Tが忍田Pに7700振込み。」
C   「井上Tは、カンのテンパイと心中したくてしょうがないようにみえるね。」
   忍田     ロン  ドラ
   井上        ドラ
内田  「えっ、これ駄目ですかねぇ。」
B   「ドラ周辺で作り直せるよ。」
内田  「いやまぁ、そうですけど…。……点数ないし…。カン待ちがそんなに悪いとは僕も思ってなかったんで。」
A   「親は向かってきてるんだよね。切り順からもテンパイがかなり濃厚。そこにドラを切るのは、利があると思う?」
内田  「いやぁ、そりゃあ、まぁ…。でもカンはそんなに悪くは…。」
A   「それから、イーシャンテンの打牌で、テンパイチャンスなら確かに五切りなんだけど、形としては切りの方がいいんじゃない?」
   井上      ドラ
内田  「はぁ、そう言われれば…。」
A   「僕には、カン残して切りって感覚はほとんどないんだよね。」
内田  「ドラ引きや、がコーツになった形がそちらのほうがいいですねぇ。」
B   「ここで切ったのなら、役ありでもリーチして欲しいよね。もしじゃなくて引きだったら、多分リーチすると思うし。」
A   「絵合わせ論として、カンに色気を感じてたらリーチして欲しいし、しないんだったら、ドラではやめたほうがいいよね。一貫性の問題だね。」


内田  「次、いきましょう。東三局その3、柏原Pが、高めイッツーのドラドラをリーチして黒澤Tから出アガり。8,000」
A   「これ、柏原Pのイーシャンテン取りが面白いんだよ。」
内田  「そうですね、僕もワンズが入り目だと思ってました。」
  柏原   打
次巡 ツモ 打リーチ
C   「黒澤T悔やんでましたね。」
A   「(リーチ後ののスジの)と抜き間違えた、って言ってたよ。」
  黒澤    打


内田  「東4局、黒澤T親。七巡目、井上Tリーチ。一人テンパイで流局。」
   井上   ドラ
C   「これリーチなんすか?」
A   「あってもいいんじゃない。もう大ケガしてる訳だし。」
内田  「これ四暗刻アガれる人いるんすかねぇ?」
  井上 配牌   ドラ
     ツモ  
A   「近内Tは、から切るから四暗刻になる、って言ってたね。」
内田  「僕は多分井上Tと同じ最終形になりそうだ。」


内田  「南1局、忍田P2巡目リーチ。のシャンポン。柏原P、無筋のを飛ばした後に、手出しので5200。どうですか?」
  柏原    
A   「まあ、オリてもいいんじゃないかな〜。」
内田  「僕もオリそうです。」
C   「それに、もしを切るんなら1発目じゃない? 捨て牌の情報が少ないし。」
A   「組み合わせの理屈からいって、普通は字牌の方が当たりにくいからね。」


内田  「次いきましょう。南2局、黒澤Tが井上Tから2000点。忍田Pもこの局は、柏原Pの親を蹴りに行きました。」
A   「こういうのって、サバイバルなんだよ。だから、忍田Pは黒澤Tと同様に、柏原Pの親を蹴っ飛ばしにいったと思う。親を無くしちゃえば、彼はこの点差では残り2局ですることが限定されるからね。」
C   「柏原Pに頑張ってもらって局数を増やすって発想はないですか?」
A   「奇跡的に、柏原Pが黒澤Tから点数を取ってラスにしてくれればいいけど、そうじゃないと、忍田Pは条件的にはそんなにうれしくないと思うよ。柏原Pに目があると、大事な大事なラス前の親が彼に流されちゃう可能性があるからね。」
C   「今回は点差がかなり開いてますからね。」
内田  「次にアガる人が少ないほうがいいってことですよね。」


内田  「南3局、その忍田Pの大事な親番。5巡目井上Tから黒澤Tへのピンフサンショク3900点。あっという間でした(笑)」
C   「黒澤T、瞬間テンパイ取らずしているんだよね。1手代わり三色だから、テンパイとってもおかしくないのにね。」
内田  「役無しは美味しくないからでしょうね。落ち着いてますね。これでほぼ優勝が決まりました。」
黒澤    ドラ 打

A   「これ、忍田さんの字牌の切り順って、意味分かる?」
  東家の忍田、配牌にとあるところ、二巡目以降に、と切る。
関連牌は、一巡目に南家の黒澤、打
同巡に北家の柏原、打
内田  「えっ、どういうことですか?」
A   「だから、の切り順に意味があるんだけど、わかるかな?」
内田  「(しばし無言)……えーと、黒澤Tの現物を残して…。」
B   「ブー。違うよ。こんなことも知らないの?」
内田  「はぁ、スイマセン。」
A   「たまたま字牌は全部切っちゃったけど、字牌を重ねたい気持ちもある。だから、重なりやすいほうを残しているんだよ。忍田Pには、重なりやすいのは、絶対にだからね。」
内田  「なるほど、柏原Pがを持っていたら、合わせる可能性が高いからですね。」
A   「そういうこと。黒澤Tがを1枚持っている可能性はあるけど、柏原Pがを持っている可能性は低い。しかし、これを初めて聞いたのかね、君は(笑)」
内田  「はぁ。」
A   「これはもうマシーンのように覚えて欲しいんだけどね。チートイツなんかにも利用できるし。」
B   「特にサンマでよくある。君はサンマを打ちなさい。」
A   「単純な1枚の差なんだけどね。おもしろいでしょ。」
B   「プロの1打1打にはキャプションが必ずついているからね。」


内田  「オーラスです。忍田Pだけ倍満直、全員が3倍満ツモ条件。途中井上Tにドラポンが入るも、流局しました。」
A   「井上Tがポンした瞬間から、やることがほとんどなくなっちゃったね。」
内田  「まあ、この点差じゃ、しょうがないかもしれないですねぇ。」


内田  「総評ですが、黒澤Tの優勝した理由ってなにが大きいでしょうかね。」
C   「マイペースで打ったことが一番大きいんじゃないですか?」
内田  「そうですね。最近ミューカップで、すごく調子がいいみたいですしね。」
C   「役無しテンパイをはずしたり、決して縮こまらない。むしろ余裕があったよね。」
内田  「麻将ファンに一言って聞いたら、木村プロの麻雀を見習うことなどが好結果につながったとのこと。日々精進だと言っていました。」
A   「勢いに乗った時のカッパギ力はすごいよね。」
C   「いつも思うんだけど決勝に乗るだけで、いい勉強になりますよね。井上Tも今回もまた、決勝に残ったことで、エムワンという冠の他にまた、いろんな経験させてもらったんじゃないでしょうか。さらに強くなるきっかけですよね。」
B   「うまくまとめるねぇ(笑)」
内田  「ということで、黒澤さんおめでとうございました〜。」