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木村和幸選手自戦記(新世紀第11号より)
ハイライト牌譜をダウンロードして下さい
(今日はいけそうだな…)
1回戦を終了した時点で、いつもより少し良好な体のコンディションと、かなり良好な牌勢が手応えを感じさせてくれる。この状態を6回戦持続させる事と、決勝までにアタマを狙える位置にいられる様、出来るだけポイントを稼いでおく事。この2つを2回戦〜準決勝で確実に実行する事がテーマだった。
また、私にとってこの札幌は思い出深い場所。
13年前、苫小牧東高校野球部に籍を置き、南北海道大会で決勝戦まで進んだものの惜しくも甲子園出場ならず、無念の涙を飲んだあの円山球場のある街。札幌の地に降り立った際に当時の思いをめぐらすと、ホロ苦くも懐かしい気持ちが沸き上がり、自然と気合が入っていた。
決勝戦を迎え、1位の戸田と13P差の+103.4Pでトータル2位。3位原、4位伊藤の両者にも優勝の目はあるものの、条件はかなり厳しく、実質サシの勝負になると思っていた。
そして迎えた決勝戦の開局、南家での9巡目が次の手牌。(ハイライト牌譜参照)
yuisdxxxvb666 ツモc ドラm
13P差というのは着順差1つ分(8P)プラス5P。打xのリーチ・ツモで条件は満たす。(注…同点で終了した場合は決勝での着順が良い方が上位になる)実際そう打つ人も多いだろう。しかしここでは打dと構えた。
主な理由は2つ。
1つ目はafの残り枚数の問題。場に出ている3枚の他に、下家以外の手の中にfが計2枚は含まれている可能性が高く、残り3枚(a2枚f1枚。但し実戦ではfは残り2枚の可能性もあるとふんでいたので、実質残り3.5枚と認識していた)ではカンチャンマチよりも枚数が少ない事と、ソーズの多面張への変化をみてのもの。また、ドラ引きにも対応できる。
2つ目は優勝条件をこの瞬間だけ満たしても、この局はオーラスではなく開局であるという事。この局で優勝が決まるわけではない。
本物のオーラスで上に立っていなければ意味がなく、そのために必要なのは目先の無理(リーチ)しての1000・2000ではない。
以上の理由により仮テンsのタンキを選んだわけだが、結果は望外のものとなり、後の戦いに余裕を持たせてくれた。そして、続く東2局の親番で3900オール。
rtyjjvbnm,.66 ツモ6 ドラj
これもまた、rtyhjvbnm,.66
の役なしテンパイをヤミテンに構え、次巡ツモでシャンポンに受け変えた後のツモアガリ。
この2局でほぼ決まった感があるが、戦っている当人に安心できる点差などそうそうあるものではなく、その後も(あくまで慎重に)アガリを重ね勝利を得る事が出来た。
振り返ってみると、全6回戦を通じリーチを4回しかかけずに優勝出来たのは自分でも少々意外な気がする。昔からの私を知っている人達にはおそらく信じられないだろう。
とはいえ根本的なものが変わっているわけではなく、打ち筋の根本を木の幹に例えるなら、その枝葉の部分の成長とでも表現すれば解り易いだろうか。
数年前までは“メンゼン重視の攻撃型”スタイルで、リーチを多用する事が多かった。出番が来るまではひたすら我慢し、圧せる局面になればテンパイ即リーチで攻める。
今現在のスタイルは“(技術・経験の)総合力で対処型”とでもいおうか。局面々々に対応しながら、今まで自分が培ってきた技術・経験を総動員して戦うには自然とリーチの回数が減ってくる。相手のたった一打で局面が大きく変わるケースは山程あるのである。リーチで手牌に蓋をしてしまうと、解っていながら対処がきかないなんて事になりかねない。
勿論、リーチをかけないのが全てであるはずもなく、局面に応じた使い分けが大切だという事。今後更に枝葉の数を増やすべく、努力・研究を重ねるつもり。
最後にこの場をかりて一言。
今回の優勝決定後、たくさんの方達から祝福の御言葉を頂きました。中には自分の事の様に喜んで下さった方もいて、本当に勝てて良かった、麻雀をやっいてて良かったと実感しました。心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。また、そしてまだまだ頑張ります。(文中敬称略)
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